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大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)156号 判決 1968年5月10日

主文

一、原告に対し、

(一)、被告株式会社水島螺子製作所、被告米川正夫は連帯して一〇〇万八六五九円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降右金員支払済迄日歩七銭の割合の金員とを、

(二)、被告木村勝造は、被告株式会社水島螺子製作所と合同して、四〇万二〇〇〇円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降右金員支払済迄年六分の割合の金員と、を、

(三)、被告繁田唯雄は、被告木村勝造及び被告株式会社水島螺子製作所と合同して四〇万二〇〇〇円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降右金員支払済迄年六分の割合の金員と、を

(四)、被告大和機械工業株式会社は、被告株式会社水島螺子製作所と合同して二二万五〇〇〇円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降右金員支払済迄年六分の金員と、を

夫々支払え。

二、原告の被告米田庸蔵及び被告真鍋博に対する各請求を棄却する。

三、訴訟費用は原告と被告米田庸蔵及び被告真鍋博間の部分は原告の、その余の被告らとの間の部分は被告ら、の各負担とする。

四、本判決第一項は、仮りに執行することができる。

事実

原告は、

「一、被告株式会社水島螺子製作所、被告米川正夫、被告米田庸蔵は連帯して、原告に対し一〇〇万八六五九円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降支払済迄日歩七銭の割合の金員と、を支払え。

二、被告真鍋博は原告に対し、被告株式会社水島螺子製作所と合同して、三八万一六五九円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降支払済迄年六分の割合の金員と、を支払え。

三、被告木村勝造は、原告に対し、被告株式会社水島螺子製作所、被告真鍋博と合同して、四〇万二〇〇〇円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降支払済迄年六分の割合の金員と、を支払え。

四、被告繁田唯雄は、原告に対し、被告株式会社水島螺子製作所、被告木村勝造と合同して、四〇万二〇〇〇円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降支払済迄年六分の割合の金員と、を支払え。

五、被告大和機械工業株式会社は、原告に対し、被告株式会社水島螺子製作所と合同して、二二万五〇〇〇円と、これに対する昭和四一年三月一六日以降支払済迄年六分の割合の金員と、を支払え。

六、訴訟費用は被告らの負担とする。」

と、の判決と、仮執行の宣言と、を求め、その請求の原因として、次の通り述べた。

一、原告は被告株式会社水島螺子製作所との間に昭和三七年三月三日取引極度額を三〇〇万円と定めて手形取引約定書により継続的金融取引契約をした。その内容は、被告株式会社水島螺子製作所の振出、引受、裏書若くは保証した約束又は為替手形であつて、同被告が自らこれを以つて借受けたると、また割引を受けたるとを問わず、同被告が原告に交付したものはすべて同被告が該手形上の債務を負い、同時に右手形金に相当する借入金債務を負うものとし、原告は右手形上の債権或は貸付金債権のいずれに基いても請求しうること、若し右手形が不渡となつたときは同被告は直ちに右手形を手形金額を以つて買戻す義務を負い、且、日歩七銭の遅延損害金を支払うこと、と言うものである。

そして同日被告米川正夫、被告米田庸蔵は被告株式会社水島螺子製作所の右契約上の債務の連帯保証をした。

二、そこで原告は右契約に基き、被告株式会社水島螺子製作所から次の通りの各約束手形を割引により取得した。

(1)、振出人被告真鍋博金額一八万二〇〇〇円、振出日昭和三八年五月二〇日、満期同年一〇月四日、支払地大阪市、振出地堺市、支払場所株式会社大阪銀行阿倍野橋支店、受取人被告株式会社水島螺子製作所、同被告から原告へ裏書

(2)、振出人木村勝造、金額一五万円、振出日昭和三八年六月一〇日、満期同年一〇月二八日、支払地大阪市、振出地布施市(現在東大阪市)、支払場所株式会社神戸銀行大阪駅前支店受取人被告繁田唯雄、同被告から被告株式会社水島螺子製作所、同被告会社から原告へと順次裏書

(3)、振出人木村勝造、金額二五万二〇〇〇円、振出日昭和三八年六月二〇日、満期同年一一月二日、支払地大阪市、振出地布施市(現東大阪市)受取人被告繁田唯雄、同被告から被告株式会社水島螺子製作所、同被告会社から原告へ順次裏書、

(4)、振出人木村勝造、金額二〇万円、振出日昭和三八年七月二五日、満期同年一二月五日、支払地大阪市、振出地布施市(現東大阪市)、支払場所株式会社神戸銀行大阪駅前支店、受取人被告株式会社水島螺子製作所、同被告会社から原告へ裏書、

(5)、振出人被告大和機械工業株式会社、金額一〇万円、振出日昭和三八年八月一〇日、満期同年一二月七日、支払地振出地共に大阪市、支払場所、株式会社大阪銀行阿倍野橋支店、受取人被告株式会社水島螺子製作所、同被告会社から原告へ裏書

(6)、振出人被告真鍋博、金額二八万円、振出日昭和三八年九月五日、満期同三九年一月二二日、支払地大阪市、振出地堺市、支払場所株式会社大阪銀行阿倍野橋支店、受取人被告株式会社水島螺子製作所、同被告会社から原告へ裏書、

(7)、振出人大和機械工業株式会社、金額一二万五〇〇〇円、振出日昭和三八年九月二日、満期同三九年一月一八日、支払地振出地共大阪市、支払場所株式会社大阪銀行阿倍野橋支店、受取人被告株式会社水島螺子製作所、同被告会社から原告へ裏書、

原告は右各手形を夫々満期に支払場所に呈示したが支払を拒絶された。よつて、被告株式会社水島螺子製作所には直ちに買戻義務が生じたわけである。

三、ところが原告は被告株式会社水島螺子製作所に対しては、次のような債務があつた。

(1)、原告に対する同被告会社は定期積金契約による払込済掛金六二万八八〇〇円

(2)、原告に対する同被告会社の組合出資金三万三〇〇〇円。また被告米田庸蔵は原告に対して、昭和三九年一〇月一二日から昭和四二年七月一一日迄の間に三四回に亘り合計三三万三三一三円を支払つた。

そこで、原告は右(1)の中の三〇万四七〇三円と(2)の全額及び被告米田庸蔵の弁済金の合計六七万一〇一六円を前記(1)の手形金の内入として八万〇三四一円、同(4)の手形金金額及び同(1)ないし(7)の各手形金の昭和四一年三月一五日迄の損害金合計三九万〇六七五円の弁済に充当した。

よつて、前記(1)の手形に関する債権は手形金額一〇万一六五九円と昭和四一年三月一六日以降の年六分の利息又は日歩七銭の損害金が残り、前記(2)、(3)、(5)、(6)及び(7)の各手形に関する債権はその各手形金額と、これに対する昭和四一年三月一六日以降の年六分の利息或は日歩七銭の損害金が残存し、前記(4)の手形に関する債権は消滅したこととなる。

四、それ故被告株式会社水島螺子製作所は主債務者、被告米田庸蔵、被告米川正夫は連帯保証人として右(1)の手形の残額、(2)、(3)、(5)、(6)及び(7)の各手形の手形金額を以つてする買戻債務と、これに対する昭和四一年三月一六日以降約定の日歩七銭の損害金債務を負い、他の被告らは夫々振出人或は裏書人として前記手形金と、それに対する昭和四一年三月一六日以降の年六分の割合の利息との債務を負うから、原告は本訴に於てその支払を求めるものである。

更に被告米田庸蔵の抗弁竝に被告真鍋博の答弁に対し、次のように述べた。

一、被告米田庸蔵からその主張の金員の弁済を受けたことは認めるが、同被告の債務をその主張のように減額したことは否認する。

二、被告真鍋博は、本件(1)及び(6)の手形は被告大和機械工業株式会社の代表者石井一而が勝手に被告名義を冒用して作成したと言うが、その事実は否認する。仮りにそうであつたとしても、同被告は石井一而に同被告名義で手形を振出すことを承諾していたことは明かであつて、これは右石井一而に同被告を代理して手形を振出すことを認めていたものである。

立証(省略)

被告米田庸蔵訴訟代理人は、原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。との判決を求め、答弁及び抗弁として、被告米田庸蔵が原告と被告株式会社水島螺子製作所との間の原告主張のような継続的金融取引契約による同被告会社の原告に対する債務を極度額を一〇〇万円として連帯保証したことは認めるが、その余の請求原因事実は知らない。仮りに被告米田庸蔵に原告主張のような保証責任があるとしても、同被告と原告との間には昭和三九年九月末頃、当時原告からの請求金額の中六六万六六二五円の半額を同被告が毎月一万円宛に分割して支払い、残額は免除するとの和解契約が成立し、同被告は昭和四二年七月迄の間に右半額の三三万三三一三円の支払を了したから、最早や同被告は何らの債務はない。と、述べ、立証(省略)

被告真鍋博訴訟代理人は、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする。との判決を求め、答弁として、同被告は原告主張の手形を振出したことは否認する。もつとも訴外石井一而が昭和三四年から同三六年にかけて鉄工所を経営したことがあり、その間被告真鍋は右石井を補佐し同被告名義を用いて銀行取引をしたが、それはすべて決済ずみである。原告主張の手形は、その後右石井一而が被告真鍋と関係なく被告大和機械工業株式会社を設立して事業を行つたらしいが、その間に右石井が被告真鍋名義を以つて作成したものと思われる。と、述べ、甲第一〇号証の成立は認める、同第九号証同第一一号証の一ないし四の成立は知らない、甲第二ないし四号証、同第六ないし八号証の各成立は否認する、と述べた。

他の被告らは、いずれも公示送達による呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、答弁書その他の準備書面をも提出しない。

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